3.国際標準規格ISO 9001品質マネジメントシステム

   およびISO 13485医療機器製造に関する品質マネジメントシステムとは?

 ドイツSMP GmbHが取得しているISO 9001品質マネジメントシステムは、国際標準規格で最も普及している品質に関するマネジメントシステムを目的とした、製品やサービスの品質が一貫して提供されており、且つ顧客満足の向上につなげられる要求事項とその規格になります。

○品質マネジメントシステムは「7つの原則」に基づいています[i]

-顧客重視

:品質マネジメントは、顧客の要求事項を満たし、さらに顧客の要求を超える

-リーダーシップ

:全ての階層の各リーダーは目的と方向性を一致させ品質目標達成のため組織の人々が参加できる状態にする

-人々の積極的参加

:組織にとって、全ての人々が価値を提供する技量を持ち、権限が与えられ、関与することが重要であり、組織の価値を生み出す能力を高める

-プロセスアプローチ

:品質活動を一貫したシステムとして機能させるため、相互に影響するプロセスをマネジメントにより矛盾のない予測および結果が効率性と効果性を維持できる

-改善

:品質マネジメントシステムは改善(PDCAを回すこと)することが目的であり、組織は持続性を持たせて改善に焦点を当て続ける

-客観的事実に基づいた意思決定

:客観的データ、情報分析および評価に基づいた意思決定により結果が最大化する可能性が高まる

-関係性のマネジメント

:組織は持続可能な成功のために利害関係者をマネジメントしなければならない

 このように品質マネジメントシステムは、「人」や「人々」によって製品やサービスの品質が決定づけられるシステムを構築し運営していくことが原則であり意思決定に至るまでのマネジメントの重要性を問うています。

 一方、医療機器を製造する企業は、ISO 9000シリーズの産業別規格であり、医療機器の製造に特化したISO 13485 医療機器製造に関する品質マネジメントシステムに準拠して、第三者認証機関(Notified Body)により認証(Certificate)を取得するか、もしくは厚生労働省より制定されている医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令 (QMS省令)[ii]に準拠しPMDAなどによりQMS適合性調査(省令調査)[iii] などを受けるなど医療機器製造に関する品質管理システムに必ず準拠しなければなりません。

ISO 13485は、医療機器製造に関する品質マネジメントシステムの構築と持続可能な運用を目的としていることと同時に医療機器製造に関する規制目的の要求事項にあたります。

 私たち、SMP GmbHおよびSMP Laboratories Japan Co.,Ltd.は、いわゆる認証機関(Notified Body)ではありません。医療機器の認証のための独立試験機関(Independent Testing Laboratory)として試験やプロトコール作成支援などをしておりますが、ただ単に「認証取得のみ」のためだけの試験や支援をしておりません。

 医療機器や装置を最終使用者の立場に立ち、それらの機器を用いて治療や手術などに使用される患者やその家族、さらに社会に対しても、どのような「リスク評価」に基づいて試験を実施したのか、独立試験機関(Independent Testing Laboratory)として客観的な根拠に基づいて試験をしたのかなど、組織としてまたそれに従事する個人としての哲学(Philosophy)や経営理念(Management Principle)と常に向き合いながら取り組んでおります。

ISO 9001品質マネジメントシステムの各構成と要求事項は下記のようになっていますⅶ。

-序文

1適用範囲

2引用規格

3用語及び定義

4組織の状況1)

4.1 組織及びその状況の理解

4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解

4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定

4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス

 5リーダーシップ2)

5.1 リーダーシップ及びコミットメント

5.1.1 一般

5.1.2 顧客重視

5.2 方針

5.2.1 品質方針の策定

5.2.2 品質方針の伝達

5.3 組織の役割,責任及び権限

6計画

6.1 リスク及び機会への取組み

6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定

6.3 変更の計画

7支援

7.1 資源

7.1.1 一般

7.1.2 人々

7.1.3 インフラストラクチャ

7.1.4 プロセスの運用に関する環境

7.1.5 監視及び測定のための資源

7.1.6 組織の知識

7.2 力量

7.3 認識

7.4 コミュニケーション3)

7.5 文書化した情報4)

7.5.1 一般

7.5.2 作成及び更新

7.5.3 文書化した情報の管理

8運用

8.1 運用の計画及び管理

8.2 製品及びサービスに関する要求事項

8.2.1 顧客とのコミュニケーション5)

8.2.2 製品及びサービスに関連する要求事項の明確化

8.2.3 製品及びサービスに関連する要求事項のレビュー

8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更

8.3 製品及びサービスの設計・開発

8.3.1 一般

8.3.2 設計・開発の計画

8.3.3 設計・開発へのインプット

8.3.4 設計・開発の管理

8.3.5 設計・開発からのアウトプット

8.3.6 設計・開発の変更

8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理6)

8.4.1 一般

8.4.2 管理の方式及び程度

8.4.3 外部提供者に対する情報

8.5 製造及びサービス提供

8.5.1 製造及びサービス提供の管理7)

8.5.2 識別及びトレーサビリティ

8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物

8.5.4 保存

8.5.5 引渡し後の活動

8.5.6 変更の管理

8.6 製品及びサービスのリリース

8.7 不適合なアウトプットの管理

9パフォーマンス評価

9.1 監視,測定,分析及び評価

9.1.1 一般

9.1.2 顧客満足

9.1.3 分析及び評価

9.2 内部監査

9.3 マネジメントレビュー

9.3.1 一般

9.3.2 マネジメントレビューへのインプット

9.3.3 マネジメントレビューからのアウトプット

10改善

10.1 一般

10.2 不適合及び是正処置

10.3 継続的改善

附属書A(参考)新たな構造、用語及び概念の明確化

附属書B(参考)ISO/TC176によって作成された品質マネジメント及び品質マネジメントシステムの他の規格類

 

 実際の規定についての順番も序文から用語の定義、品質マネジメントシステムの概要に触れ、それを実現するための本文として、第4章 組織の状況1)では、品質マネジメントシステムを構築するために現在の組織状況を把握し利害関係者のニーズと期待を理解しそれに伴う組織内外の課題を整理し文書化することを要求しています。

そして品質マネジメントシステムの構築とともに、それを維持し改善につなげていく組織内のプロセスアプローチについて述べられています。プロセスアプローチとは、計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Act)を意味し、効率的で効果的な運用とその記録の保管が要求されています。PDCAは、品質マネジメントの継続的な改善への手法として一般的に広く知られています。P→D→C→Aの4段階を順次追っていき、一周したらまた次のサイクルに繋げ、螺旋を描くようにすることで切れ目なくまた持続可能な品質管理の改善を行っていきます。

 PDCAサイクルを用いて品質マネジメントを誰の責任において実施していくのか、について第5章 リーダーシップ2)で明示されています。先ず事業者や経営者が品質マネジメントシステムにおいて有効性や組織の目標および方向性についての説明責任を負います。事業者や経営者の主導による品質マネジメントシステムの構築と運用を確実なものとするため、リーダー(役職者)を任命し、リーダーシップを発揮してもらうための環境を整え支援しなければなりません。

関連する法令や規制を遵守し、且つ顧客の要求に答えられる、もしくは顧客の期待を上回る満足度を得るための製品やサービスの提供ができるように任命されたリーダーにはその責任を負い、また権限が与えられます。事業者や経営者は、そのために支援し続けなければなりません。

 第7章 支援の第4項にコミュニケーション3)に関する要求事項があります。2008年度版の内部コミュニケーションに対応します。第5項は文書化された情報4)とありますが、必ずしもマニュアル作成を要求しているのではなく、組織内部で品質マネジメントに必要な文書であるとしたものに対する文書化にあたります。

 任命されたリーダーは、その責任と権限において顧客の要求に応えるため品質マネジメントシステムに必要と思われる文書を作成し、PDCAに表される改善のサイクルを回して、その結果を記録に残します。

また、その状況を事業者や経営者などのトップマネジメントに報告をし、組織の目標や方向と照らし合わせながら意思決定をしていきます。さらにリーダーはチームやグループメンバーに対しても品質マネジメントシステムに必要な情報を共有することが求められています。

 第8章 運用の第1項 製品及びサービスに関する要求事項の第1目には、顧客とのコミュニケーション5)が記載されています。これは、外部コミュニケーションにあたります。その後の第2、3、4目と続きますが顧客の要求を満たすためコミュニケーションは不可欠であり、そのためには要求事項を明確にしなければなりませんし、その要求事項を自組織に持ち帰り期待に添えるか吟味しなければなりません。

第4項 外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの管理6)では、同様に外部委託先や原料の調達先などアウトソースに対しても品質マネジメントシステムに必要な要求を満たすため、コミュニケーションをとらなければならないことが求められています。

 更に第5項 製造及びサービスの提供の第1目 製造及びサービスの提供の管理7)の項目のなかにg) ヒューマンエラーを防止するための処置を実施する の記述があります。

 このように、品質マネジメントシステムの構築には、専門的な技術(Technical Skills)な向上もさることながら、非専門的技術(Non-Technical Skills:ノンテクニカルスキル)に対する仕組みを構築し、それを向上させることが必要であるということが随所にみられます。

 

 医療現場における医療安全の構築のための標語として、 ”To Err is Human(過つは人の常)”があります。

「人」は間違えを犯します。人は意図せずミスしてしまうのです。しかしながら、ミスをしたその人個人に対してだけ反省を促し、罪を背負わせたところで、そのミスから得られた学びが活かされずして医療の質の向上はありません。これは、行為に対するミスだけでなく、コミュニケーションの失敗や状況認識や意思決定に至る間違い、チームの連携に関することも内包されています。

 医療であれ、一般消費財やサービスであったとしてもその品質向上のためには、「人」に対するマネジメントや支援をする仕組みを構築し、それを改善していくことによって顧客や社会、医療であれば患者やその家族に対して要求や期待を超える製品、サービスが提供できる点については同じであることがいえます。

 国際標準規格であるISOを取得することが目的にするのではなく、組織内において必要とする品質マネジメントシステムを導入し改善していく仕組みを構築することで人も技術も組織も成長し高い品質が提供し続けることが可能となります。

[i]International Organization for Standardization; Quality management principles. ISO. 2015, p1.

[ii]平成16年12月17日厚生労働省令第169号;医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令,https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=81aa6618&dataType=0&pageNo=1

[iii]“QMS適合性調査業務”.独立行政法人医薬品医療機器総合機構. https://www.pmda.go.jp/review-services/gmp-qms-gctp/qms/0003.html

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