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4. 「DGKH, DGSV®/SGSV , AKIによって作成された医療機器の自動洗浄および熱水消毒プロセスにおけるバリデーションと日常的なモニタリングのためのガイドライン」と「品質マネジメントシステム」

 DGKH(Deutsche Gesellschaft für Krankenhaushygiene / ドイツ病院衛生学会), DGSV(Deutschen Gesellschaft für Sterilgutversorgung /ドイツ滅菌供給業務学会)、SGSV(Schweizerische Gesellschaft für Sterilgutversorgung / スイス滅菌供給業務学会)およびAKI(Arbeitskreis Instrumentenaufbereitung / ロベルトコッホ研究所, 医療機器再生処理のためのワーキンググループ)が編纂した医療機器のための自動洗浄消毒工程におけるバリデーションと日常監視のガイドライン[i]の序文の冒頭では、以下のような記載がされています。

 Die Medizinproduktebetreiberverordnung fordert in § 8, dass die Aufbereitung von keimarm oder steril zur Anwendung kommenden Medizinprodukten unter Berücksichtigung der Angaben des Herstellers mit geeigneten validierten Verfahren so durchzuführen ist, dass der Erfolg dieser Verfahren nachvollziehbar gewährleistet ist und die Sicherheit und Gesundheit von Patienten, Anwendern oder Dritten nicht gefährdet wird.

 医療事業者規則条例第8条では、医療機器の再生処理は、医療機器製造販売業者から提供された指示や情報に基づき適切にバリデーションされた手順を用いて実施され、これらの手順を明確にしておかなければならない、また患者および医療従事者、第三者の安全と健康を脅かしてはならない。

“Patienten, Anwendern oder Dritten nicht gefährdet wird.”

は、かの有名な「ヒポクラテスの誓い」とされている箇所から引用である「患者に危害を加えてはならない」にあたります。

医療機器の再生処理に携わる関係者は、この「理念(Policy)」の下で従事することむねとすることを促しています。

 Mit dieser überarbeiteten Leitlinie bieten die beteiligten Fachgesellschaften die Umsetzung der Norm DIN EN ISO 15883 «Reinigungs-Desinfektionsgeräte» auf dem aktuellen Stand.

そして、改定されたガイドラインは、最新の国際標準規格、欧州標準規格およびドイツ標準規格 15883《自動洗浄消毒装置》に準拠していますと記載されています。

これは、当該ガイドラインが国際標準規格を基とし欧州およびドイツの各規格に準拠して作成されているこことを指します。

さらに、品質マネジメントシステムの重要性が記載されています。

  1. Grundsätze der Leitlinie

ガイドラインの原則

– Der Betreiber hat die Verantwortung, ein Qualitätsmanagement einzuführenund aufrecht zu erhalten.

- 事業者(医療機関等も含む)は、品質マネジメントシステムを導入し、それを維持していく責任を負っています。

 当該ガイドラインでは、国際標準規格(International Organization for Standardization)であるISO 9001やISO13485で示されている品質管理システムや医療機器製造における品質マネジメントシステムの全てに準拠していることを必ずしも要求しているのではなく、品質マネジメントシステムの本質的な部分を踏襲し、医療機関やその組織に見合った品質マネジメントシステムを構築しなければならず、またそれを維持していけるようにしなければならないとしています。

ガイドラインの原則の続きには、

– Der Betreiber hat die Verantwortung, dass das mit der Aufbereitung beauftragte Personal die erforderliche Sachkenntnis besitzt (z. B. Fachkundelehrgang I der DGSV).

– 事業者は、医療機器再生処理業務の責任者が必要な専門的知識を有していることに対して責任を負っています。(例:DGSV認定コースⅠ資格の取得)

– Der Betreiber hat die Verantwortung, dass die Validierung und die Erneute Leistungsqualifikation durchgeführt werden.

– 事業者は、妥当性確認および再妥当性確認の更新を実施する責任を負っています。

– Der Betreiber ist für die Einhaltung der periodisch durchzuführenden Routinekontrollen, die im Rahmen der Validierung und bei der Erneuten Leistungsqualifikation definiert und dokumentiertwerden, verantwortlich.

– 事業者は、妥当性確認や定期的な再妥当性確認および定期点検の定義を行い、それが文書化され遵守していることに対する責任を負っています。

と記載されています。

事業者である医療機関や各組織等において何かしら外部の評価を受けた認定機関により証明された資格(例えばDGSV認定コースⅠ  / RUMED Academy Level 1 相当)を有している人を責任者に任命し、その任命された責任者の下、妥当性確認(Validation)や再妥当性確認(Re-Validation)および定期点検が確実に実施され、またその手順を文書化して全て記録に残していることに対する責任を負っていることを意味しています。

 医療機関における再生処理に関する品質管理システムの中核となる部分は、ISO 9001やISO13485と同様にトップマネジメントは、責任者を任命し、任命された責任者はその責任と権限に基づいて「リスク評価」を行い品質管理に関する手順書の作成と客観性を持った妥当性確認や再妥当性確認を定期的に実施し、その結果の報告または必要に応じて是正措置の実施や要求に関して任命したトップマネジメントに提案しなければならないことを当該ガイドラインは要求しています。

また、当該ガイドラインの指針の前段には、以下のようにも記載があります。

Qualitätssicherung bei der Aufbereitung von Medizinprodukten (MP) ist nicht nur eine gesetzliche Verpflichtung, sondern auch von wirtschaftlicher Bedeutung.

医療機器の再生処理における品質保証は、法的な義務を負うだけでなく、経済的にも重要なことである。

Die Prävention nosokomialer Infektionen stellt eine interdisziplinäre Herausforderung aller Beteiligten dar.

院内感染の予防は、全ての事業者にとって恒久的な課題でもある。

Die sachgerechte Aufbereitung von Medizinprodukten ist hierbei ein wichtiger Baustein.

また医療機器の適切な再生処理は院内感染予防において極めて重要な要素である。

Die Vorgehensweise in allen Aufbereitungsschritten muss durch die Prozesssicherheit eine korrekte und nachvollziehbare Aufbereitung ermöglichen.

医療機器の再生処理は信頼性のある文書化された再生処理手順用い、すべての手順において正確で追跡可能な手順にしておく必要があります。

Der Betreiber der Einrichtung trägt die gesamte Verantwortung und muss unter anderem dafür sorgen, dass das mit der Aufbereitung beauftragte Personal die erforderlichen Kenntnisse und Qualifikationen zur ordnungsgemäßen Aufbereitung besitzen.

事業者は全ての責任を負い、責任の中でも特に再生処理を担当する担当者が適切な処理に必要な知識と資格を持っていることを確認する必要がある。

とされています。

 医療機器の再生処理における品質保証について、事業者は法的責務も負わなければならないのと同じく、その事業が持続可能であるように経済面や経営面においてもその責務を負っていることを明示しています。

施設内で起こる院内感染の予防措置を講じること、そしてその実現のために品質管理システムを構築し、その運用面における責任者の任命と権限をあたえて実施していくことが必要であるとしています。

また信頼性および妥当性のある手順書の作成と正確で追跡可能な記録を保持されていること。さらに任命する責任者は、必要な専門的知識とその資格を有していることを確認しなければならない、すなわちそのための教育やトレーニングがなされていなければならないことが記されています。

 ISO 9001やISO13485に示されている品質マネジメントシステムと同じく、「人」を機軸として持続可能で品質の向上や改善をもたらすシステムの構築と維持を目指すことが要求されています。

[i] DGKH, DGSV and AKI; Leitlinie von DGKH, DGSV und AKI für die Validierung und Routineüberwachung maschineller Reinigungs- und thermischer Desinfektionsprozesse für MedizinprodukteGuideline 5 Auflage 2017.mph verlag, 2017.

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